保育士の就職先は保育所の他にも種類がさまざまです。その勤務先のひとつに児童養護施設があります。ご存知かと思いますが、保育園に入所する子どもたちと児童養護施設の子どもたちとでは入所する理由は大きく違います。同じ子どもであることは変わりがありませんが、児童養護施設で過ごす子どもたちは個々に精神的や肉体的なことも含めて何かしら難しい問題を抱えているのです。
そのため児童養護施設で働く保育士は保育士としても人としてもかなり高い知識や仕事力を求められます。しかし、児童養護施設に勤める保育士は大変だけれど大きなやりがいを感じながら働いていると言います。今回は保育士が児童養護施設で働く理由に迫り、あわせて児童養護施設についても紹介します。
1.児童養護施設とは
社会にはいろんな理由で保護者がいない子ども、保護者の経済的な理由や病気・虐待されていて親と一緒にいることができない子どもたちがいます。何かしらの理由が原因となり家庭で生活を送ることが難しくなった子どもたちを保護・適切な教育をし、元々の家庭環境についても支援する施設を児童養護施設と言います。
児童養護施設は子どもたちの家
職員も保育士だけではなく多様な職種の方で構成されています。大体2~18歳の子どもたちが一緒に生活をしていて、簡単に申し上げるとそれぞれの家庭に代わる「子どもたちのためのための大きな家」です。施設で過ごす子どもたちと保育士は家族のような関係とも言えます。
2.児童養護施設の保育士に資格は必要?
基本的に保育士の資格を持っていれば児童養護施設で勤務は可能です。しかし、一緒に生活をしている子どもたちは虐待や親と離れて暮らしていることなどのが原因で心に傷を抱えている子が多いのです。そんな子どもたちのことを考えた時に持っていると役立つ資格があるので紹介します。
保健児童ソーシャルワーカーの資格
保健児童ソーシャルワーカーは、虐待やいじめ、不登校など色々な問題を抱えている苦しんでいる子どもたちを支えることが主な仕事内容になります。一般社団法人の医療教育協会認定の民間資格で、子どものために作られた資格とも言えます。
- 子どもの心理
- 子どものための医療
上記2つの観点からサポートがされ、その他にも子育てに悩みを抱える保護者の相談に乗ることもします。
幼児安全法支援員の資格
児童養護施設にはおよそ2~18歳の子どもたちが生活をしています。2歳と言えばある程度身体もしっかりしているのが通常と言われますが、児童養護施設の子どもたちの中には親から食事も満足に与えられることがなく同じ年の子どもと比べても身体も心も未発達である場合があります。そんな時に幼児安全法支援員の資格が役立ちます。
- 乳幼児に起こりやすい事故の予防と手当の方法
- 乳幼児がかかりやすい病気に対する手当の知識と技術
主に上記の内容について専門知識を持つことができるため、児童養護施設でもかなり役立つ資格です。
その他に児童養護施設で役立つ資格
保健児童ソーシャルワーカーや幼児安全法支援員の資格の他にも児童養護施設で働くうえで役立つ資格はたくさんあります。その例として3つほど紹介します。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 臨床発達心理士
社会福祉専門の国家資格である社会福祉士は持っていると多様な場所で有効的に使える資格です。それ以外の精神保健福祉士や臨床発達心理士を紹介する理由としては、どちらも心のケアや子どもの発達に対して専門的な知識を取得できる資格だからです。
3.児童養護施設での保育士の役割
児童養護施設で働く職員は子どもたちにとって施設の家族です。その大きな家族の中でも保育士は「お母さん」や「お父さん」という保護者的な役割を担うことになります。
児童養護施設の保育士の仕事内容
養護施設で過ごす子どもたちにとって保護者に当たる日常的な保育士の仕事内容をまとめてみます。もちろん保護者として子どもたちの学校行事への参加も保育士の仕事です。
- 食事や掃除・洗濯など日常生活に関する仕事
- 子どもたちの遊び相手になる
- 子どもたちへ勉強を指導する
基本的な仕事内容ですが、子どもが大人になる大事な基礎の部分を受け持つという重要な役割が児童養護施設で働く保育士の仕事なのです。たしかに児童養護施設での保育士の仕事内容を見ると、まさにお母さん・お父さんのようです。
共に働く職員と連携して子どもたちを支える
保育士が養護施設で過ごす子どもたちの日常生活に欠かせない存在なのは間違いありません。ですから多様な場面で必要なルールを子どもたちに教えることもあります。しかし、虐待の経験をもつ子どもに案に強い言葉を使えば問題になることもあります。そのため児童養護施設には保育士以外で専門的な職種の職員多数で構成されています。
- 心理職員
- 職業指導員
- 栄養士や調理師
- 医師
上記の児童指導員の他に施設長や事務員もいます。保育士は子どもたちの生活をサポートする上でさまざまな専門職員と連携して問題解決に取り組む必要があるのです。
児童養護施設の勤務時間
児童養護施設で働く保育士の勤務時間は施設ごとで異なりますが、大体が「早番」「遅番」「宿直」のようなシフト制になります。例えば自分の担当する子どもが問題を起こした時などは休日でもきちんと対応することになります。
4.児童養護施設の保育士の給料
児童養護施設で働く保育士のお給料ですが正規社員としての勤務した場合、平均的には月20万円前後と言われています。しかし福利厚生などはしっかりしており、施設によっては家族手当や住宅手当の他にも資格所得時に特別手当が出るところもあります。
役職につければ年収は上がる
年齢が上がったとしても養護施設によってはお給料もあまり上がることが少ないですが、役職に就くことで昇給は望めます。役職につくことを目的とするのであれば、少し大きめの児童養護施設で働くことがおすすめです。
5.保育士が児童養護施設で働く理由
ここまで児童養護施設について、施設で働く保育士の実態について説明してきました。家庭などの生活に問題がない子どもでさえ、子どもだからこそそのサポートは難しいのですが、もっと複雑な状況下におかれている児童養護施設の子どもたちを支えるのは更に難しいことです。
これからこの記事の本題としている「どうして保育士として児童養護施設で働こうと思ったのか」という理由に迫ってみたいと思います。
子どもたちの成長を一番身近に支えることができる
保育士になる理由で一番多いのが「子どもが好き」「子どものお世話がしたい」という意見です。児童養護施設と一般的な保育園が大きく違うのは、保育士と子どもの距離。児童養護施設の子どもと保育士はいうなれば親子のように近く、担当の子どもが施設を出られるようになるまでは少しずつ一緒に成長をし、子どもたちを支えることができます。成長を見られる喜びは大きいものです。
保護者のようではなく「保護者」そのもの
出産や育児の経験がない保育士でも、児童養護施設に勤務すれば子どもたちを予防接種に連れて行ったり、離乳食について試行錯誤したり、少し大きくなった子どもたちと一緒に洋服や日用品を買いに出かけたりするため、本当に自分の子どものように感じるようです。
子どもたちや職員からも必要とされる存在になる
働くうえで自分が周りから必要とされていると感じられるというのは大事なことです。児童養護施設で担当している子どもたちからしても、保育士は親のような存在です。他業種の職員からみても、足りない知識を連携することで補い合う立場でもあるため、誰から見てもいなくてはならない存在になります。
児童養護施設でしか感じられないやりがいがある
とにもかくにも、児童養護施設で勤務する保育士の皆さんそれぞれに仕事に対して大きなやりがいを感じています。そのやりがいを感じる瞬間というのが児童養護施設で働いている保育士しか感じられないものなのだと思います。
- 子どもと信頼関係を築けたとき
- 子どもから悩みを打ち明け相談されたとき
- 施設のイベントなどを一緒に企画し成功したとき
児童養護施設の保育士の意見を文字にすると、通常の保育所勤めの保育士と大差ないように感じます。ですが一緒に生活する子どもたちの境遇などを考えた時に、上記のようなささいな事でも涙がでるほどうれしく同時に担当になって良かったと感じるのでしょう。
長く勤務している保育士に共通していること
実を言えば児童養護施設で働く保育士も例にもれず、離職率はやや高いとされています。それでも辞めない保育士に共通している意見がひとつあります。それは、福利厚生の充実や、職場環境の良さなどではなく「子どもたちと一緒に自分も成長しているという確かな実感を感じられた」と答える保育士です。
そういった保育士は、仕事がきつくても頑張って良かったと想像以上の達成感を子どもたちは保育士にプレゼントしてくれると言います。
6.児童養護施設の求人の探し方
保育士の資格があれば児童養護施設への勤務は可能ですが、どうやって児童養護施設の求人を探せばいいかわからないという保育士に向けて紹介します。探し方は大きく分けて以下3つがおすすめの求人の探し方です。
- 児童養護施設のホームページで問合せる
- ハローワークを利用する
- 保育士転職サイトを利用する
自分が気になる児童養護施設がある場合は直接問合せてみるのが良いでしょう。施設によっては実習を設けていたりしますので、働く前に雰囲気を感じることができる機会があります。
保育士転職サイトは必ず利用しましょう
最近の児童養護施設の求人は保育士求人でも少ないと言えます。そのくらい辞める保育士も減少傾向にあるのです。そのため、保育士転職サイトに登録し自分の担当者へ相談することが何よりも早く児童養護施設の求人を見つけられる手段になります。万が一、紹介条件がないとしても、求人情報が更新されれば転職サイトの担当者から連絡をしてもらうことも可能なのです。
まとめ
正直な話、児童養護施設の子どもたちは抱える問題はそれぞれに深いものであり、すぐに心を開いてくれるなんて稀なことになります。しかし、だからこそ達成感や子どもとの関係が進歩したと感じられた瞬間の喜びはひとしおなのです。
昨日まで全く会話もしてくれない子がたった一言でもコミュニケーションを取ろうと挨拶をしてくれるだけでも嬉しいのだと言います。そういった環境であると、周りの職員たちとも悩みを共有できたりチームワークも育めます。保育士としてやりがいを感じたい、難しい仕事にもチャレンジしたいと少しでも考えているのであれば、是非児童養護施設で働いてほしいと思います。
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